認定キュービクル
デパート、旅館、診療所等の不特定多数の人が出入りする建築物では、火災が発生した際の人命救助や初期消火等を目的とした消防用設備等*1に供給する非常電源*2を確保しなければならないことが消防法により定められています。
昭和50年5月、消防庁告示第7号として非常電源の一つである非常電源専用受電設備について「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」が定められたことに伴い、(社)日本電気協会は、旧自治省(現総務省)の要請により、キュービクル式非常電源専用受電設備認定規程を定め、昭和51年より全国的に統一した認定業務を開始しました。
また、平成13年12月に(社)日本電気協会は、消防法施行規則第31条の5による「指定認定機関」となり、その後の消防法施行規則の改正によって、平成16年9月から総務省消防庁の「登録認定機関」となりました。
認定業務は消防法令に基づくものです。
現在、制度を発足してから36有余年を経過しており、形式認定*3を受けたキュービクルの機種数は1,002機種、個別認定*3を受けたキュービクルの機種数は2,757機種、発行した認定銘板は30,873枚に達しています。
解説
- *1
- 消防用設備等とは、消防の用に供する設備、消防用水および消火活動上必要な施設などをいい、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、排煙設備、非常コンセント設備などをいいます。
- *2
- 非常電源とは、火災が発生した際に消防用設備等の電源を供給するもので、消防法で定められている非常電源には、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備の3種類があります。
- *3
- 形式認定とは、キュービクルの形式(最大設備容量等)の区分ごとに審査を行うものをいい、個別認定とは、個々のキュービクルごとに審査を行うものをいいます。
認定キュービクルのメリットは?
- 認定キュービクルは、厳正な審査を受けて合格したもので、JIS規格よりも厳しい条件をクリアした優秀な製品となります。
- 認定キュービクルは、消防法令における設備等技術基準に適合しているものとみなされるため、消防検査に際して、その簡素化を図ることができます。
- 認定キュービクルは、消防法に基づき消防長(消防署長)が火災予防上支障がないと認める構造を有するもので、屋内に設置される場合は、火災予防上不燃材で区画された室に設置された場合と同等として扱われています。また、屋外に設置される場合は、建築物から3m以上距離を保たなければならない規定が、これより短い距離(1m以上)に緩和されています。
認定のしくみは?
制度の目的
消防法令に規定するキュービクル式非常電源専用受電設備のうち、高圧で受電するものについて、(社)日本電気協会が定める認定基準に適合しているかを認定し、消防法に定める消防用設備等の電源確保に寄与することを目的とします。
認定の手引・同別冊
「認定の手引」及び「認定の手引別冊」には、認定制度の内容がまとめられており、認定規約、認定基準、品質管理要綱、関係諸様式などで構成されます。
認定基準
製造業者が認定キュービクルを製造する場合の基準であり、消防庁告示第7号(改正第8号)キュービクル式非常電源専用受電設備の基準、JISC4620キュービクル式高圧受電設備に基づくほか、JISを補完する基準が規定されています。
審査
審査は、書類審査と現場審査に分けて実施します。
書類審査は、製造業者から提出された申請書類一式について、その内容が認定基準に適合しているか否かを書類審査チェックリストに基づいて審査するものです。
現場審査は、製造業者から提出された前述の書類のとおりキュービクルが製造されているか否かについて、製造工場で現場審査チェックリストに基づいて審査するものです。
認定銘板
認定基準に基づいて製造された認定キュービクルの前面扉には、認定銘板が貼付されます。
品質管理
製造工場において、品質管理に関する事項(出荷されるキュービクルが認定基準どおりに製作されているかどうか等)を定期的に検査します。